○鉾田市の豊かな自然環境の保全と太陽光発電設備の適正な設置及び管理に関する条例

令和6年6月25日

条例第17号

(目的)

第1条 この条例は,太陽光発電設備が生活環境,景観その他自然環境に及ぼす影響に鑑み太陽光発電設備の適正な設置及び管理について,基本的かつ必要な事項を定めることにより,太陽光発電事業と地域との調和を図るとともに,市民の安全で安心な生活の確保と本市の豊かな自然環境の保全に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 太陽光発電設備 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第2条第2項の再生可能エネルギー発電設備であって,同条第3項第1号の太陽光を再生可能エネルギー源とするものをいう。

(2) 太陽光発電事業 太陽光発電設備を用いて発電する事業をいう。

(3) 事業区域 太陽光発電事業を行う一団の土地(継続的又は一体的に設置事業を行う土地を含む。)をいう。

(4) 事業者等 太陽光発電設備を設置若しくは運用する者又は事業区域を管理する者をいう。

(5) 周辺地域の住民等 次に掲げる者をいう。

 事業区域に隣接する土地の所有者,占有者及び管理者並びに当該土地に存する建物の所有者

 事業区域の境界から,規則で定める範囲内の場所に居住する者及び事業を営む者並びに太陽光発電設備の周辺環境の保全及び災害防止のために配慮を要する者

 事業区域内及びこれに隣接する土地に存する地方自治法(昭和22年法律第67号)第260条の2に規定する地縁による団体及びこれに類する団体の代表者

 からまでに掲げるもののほか,規則で定める者

(基本理念)

第3条 本市の生活環境,景観その他自然環境は,市民が長年にわたる努力により形成されてきたものであることに鑑み,市民共通のかけがえのない財産として,将来にわたって市民がその恵沢を享受することができるよう,市民の意向を踏まえて,その保全及び活用が図られなければならない。

(市の責務)

第4条 市は,この条例の適正かつ円滑な運用が図られるよう必要な措置を講じなければならない。

(事業者等の責務)

第5条 事業者等は,太陽光発電事業を実施するときは,この条例及び関係法令等を遵守し,生活環境,景観その他自然環境の保護に十分配慮するとともに,周辺地域の住民等との良好な関係の保持に努めなければならない。

2 事業者等は,太陽光発電設備における事故が発生したとき又は苦情若しくは紛争が生じたときは,速やかに必要な措置を講じるとともに,誠意をもってその解決に当たらなければならない。

3 事業者等は,太陽光発電設備の維持管理並びに太陽光発電事業終了後の撤去及び処分に係る費用を計画的な積立て等の方法により確保しなければならない。

4 事業者等は,太陽光発電事業を廃止したときは,速やかに太陽光発電設備を撤去するとともに,関係法令等に基づき適正に処分し,自然環境の回復,景観の保全及び災害の防止に努めなければならない。

(適用範囲)

第6条 この条例の規定は,市内に設置する発電出力が10キロワット以上の太陽光発電設備について適用する。ただし,当該発電設備を建築物に設置する場合を除く。

(禁止区域)

第7条 事業者等は,土砂災害を防止するため,次に掲げる区域において,太陽光発電事業を行ってはならない。

(1) 砂防法(明治30年法律第29号)第2条の規定により指定された砂防指定地

(2) 地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第3条第1項の規定により指定された地すべり防止区域

(3) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の規定により指定された急傾斜地崩壊危険区域

(4) 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第7条第1項の規定により指定された土砂災害警戒区域及び同法第9条第1項の規定により指定された土砂災害特別警戒区域

(抑制区域)

第8条 市長は,災害の防止,良好な自然環境や優良な農地の保全及び地域文化の継承のため,太陽光発電事業の実施について特に配慮が必要で太陽光発電設備の設置を抑制すべき区域(以下「抑制区域」という。)を規則により指定し,事業者等に対し事業区域に含まないよう協力を求めることができる。

(事前協議)

第9条 事業者等は,第11条第1項の規定による届出及び協議を行おうとするときは,あらかじめ規則で定めるところにより,事業に関する計画について市長と事前協議しなければならない。

2 市長は,前項の規定による事前協議があったときは,関係部署の意見を添えて事業者等に対して必要な指導又は助言を行うことができる。

(説明及び周知)

第10条 事業者等は,前条の規定による事前協議が終了したときは,速やかに周辺地域の住民等に対し,計画している太陽光発電事業の内容,設置工事の施工方法及び安全対策,太陽光発電設備及び事業区域の管理その他の太陽光発電事業に関連する事項について周知するため,十分な説明を行わなければならない。

2 事業者等は,計画している太陽光発電設備が発電出力50キロワット以上又は抑制区域に設置する場合は,周辺地域の住民等に対して規則で定めるところにより説明会を開催し,説明を行わなければならない。

3 事業者等は,計画している太陽光発電設備が発電出力50キロワット未満の場合であっても,周辺地域の住民等から説明会の開催の要請があったときは,これに応じなければならない。

4 事業者等は,前3項の規定による説明又は説明会により,周辺地域の住民等の理解を得るように努めなければならない。

5 事業者等は,第1項から第3項までの規定による説明又は説明会を行ったときは,規則で定めるところにより,その内容を市長に報告しなければならない。

(届出及び協議)

第11条 事業者等は,設置工事に着手しようとする日の60日前までに,規則で定めるところにより,事業届出書を市長に届け出て協議しなければならない。

2 事業者等は,前項の規定により届け出た内容を変更しようとするときは,規則で定めるところにより,当該変更に伴う事業変更届出書を市長に届け出て協議しなければならない。ただし,規則で定める軽微な変更については,この限りでない。

(協議終了の通知)

第12条 市長は,前条の規定による協議が終了したときは,事業者等に当該協議が終了した旨を通知するものとする。この場合において,市長は,必要に応じて,当該通知に意見を付すことができる。

2 事業者等は,前項の規定による通知を受けた後に設置工事に着手するものとする。

(協定の締結)

第13条 市長は,第11条の規定による協議が整ったときは,事業者等に対し次に掲げる事項について協定の締結を申し入れるものとする。

(1) 太陽光発電設備の維持及び管理に関する事項

(2) 生活環境の保全及び公害の防止に関する事項

(3) 太陽光発電設備の災害時及び廃止後の措置に関する事項

(4) その他規則で定める事項

2 事業者等は,前項の協定の締結に応じるよう努めなければならない。

(工事着手等の届出)

第14条 事業者等は,設置工事に着手するときは,規則で定めるところにより,速やかに市長に届け出なければならない。なお,工事を中止,再開又は完了するときも同様とする。

(適正な設置及び管理)

第15条 事業者等は,太陽光発電事業を実施するにあたって,太陽光発電設備及び事業区域内について,安全かつ良好な状態となるよう,規則で定める事項を遵守し適正な設置及び管理に努めなければならない。

(標識の設置)

第16条 事業者等は,法令等に定めがある場合を除き,太陽光発電設備の設置工事及び太陽光発電事業の期間中,事業区域の見やすい場所に,規則で定める事項を記載した標識を設置しなければならない。

2 事業者等は,前項により設置した標識の内容について変更が生じたときは,速やかに標識を変更して,設置するものとする。

(地位の継承の届出)

第17条 事業者等の地位を継承した者は,規則で定めるところにより,その旨を速やかに市長に届け出なければならない。

(太陽光発電事業の廃止に係る届出)

第18条 事業者等は,太陽光発電事業を廃止しようとするときは,廃止しようとする30日前までに,規則で定めるところにより,市長に届け出なければならない。

2 事業者等は,太陽光発電事業を廃止したときは,太陽光発電設備を速やかに撤去し,関係法令等に基づき適正に処分しなければならない。

3 前項の規定による太陽光発電設備の撤去及び処分が完了したときは,規則で定めるところにより,速やかに市長に報告しなければならない。

4 市長は,前項の規定による報告があったときは,現地確認を行い,必要な助言又は指導をすることができる。

5 事業者等は,第2項に規定する撤去及び処分を速やかに行うために,必要な資金の確保に努めなければならない。

(立入調査)

第19条 市長は,この条例の施行に必要な限度において,その職員に事業区域又は事業者等の事務所に立ち入り,必要な調査を行わせ,又は関係人に質問させることができる。

2 前項の規定により立入調査をする職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係人の請求があった場合は,これを提示しなければならない。

3 第1項に規定する立入調査の権限は,これを犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(助言,指導及び勧告)

第20条 市長は,この条例の目的の達成のために,事業者等に対して,適切な措置を講ずるよう助言又は指導を行うことができる。

2 市長は,次の各号のいずれかに該当する場合は,事業者等に対して,期限を定めて適切な措置を講ずるよう勧告することができる。

(1) 第10条第1項から第3項までの規定による説明又は説明会の開催を行わないとき。

(2) 第10条第5項の規定による報告をせず,又は虚偽の報告をしたとき。

(3) 第11条の規定による届出をせず,又は虚偽の届出をしたとき。

(4) 第12条第1項の規定による通知を受ける前に設置工事に着手したとき。

(5) 第13条の規定による申し入れに応じないとき。

(6) 第19条第1項の規定による立入調査を拒み,妨げ,若しくは忌避し,又は立入調査に伴う質問に対して答弁をせず,若しくは虚偽の答弁をしたとき。

(7) 正当な理由なく前項の規定による助言又は指導に従わないとき。

3 事業者等は,前項の勧告を受けたときは,規則で定めるところにより,改善の結果について速やかに市長に報告しなければならない。

(官公署への協力要請)

第21条 市長は,この条例に関する調査について必要があるときは,関係行政機関に照会し,協力を求めることができる。

(公表)

第22条 市長は,第20条第2項の規定による勧告を受けた事業者等が正当な理由なく当該勧告に従わないとき又は同条第3項による報告をしないときは,事業者等の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては,その名称及び代表者の氏名並びに主たる事務所の所在地)並びに勧告の内容を公表することができる。

2 市長は,前項の規定により公表しようとするときは,規則で定めるところにより,あらかじめ事業者等に対し,その理由を通知し,意見を述べる機会を与えなければならない。

(委任)

第23条 この条例に定めるもののほか,この条例の施行に関し,必要な事項は,規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は,令和6年9月1日から施行する。

(適用区分)

2 この条例の施行の日前に工事に着手している太陽光発電事業については,第9条から第14条まで,第17条及び第18条並びに第20条第2項(第1号から第5号までに限る。)の規定は適用しない。

3 この条例の施行の際,現に実施している太陽光発電事業については,条例の施行日以後に事業計画の変更が行われるまでの間は,第9条から第14条まで,第17条及び第18条並びに第20条第2項の規定は適用しない。

4 この条例の施行の際,再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法第9条第4項の規定による認定を受け,かつ,太陽光発電事業に係る設置工事に着手していない事業者等は,第11条第1項中「設置工事を着手しようとする日の60日前までに」とあるのは,「速やかに」と読み替えるものとする。

鉾田市の豊かな自然環境の保全と太陽光発電設備の適正な設置及び管理に関する条例

令和6年6月25日 条例第17号

(令和6年9月1日施行)