農地所有適格法人

農地所有適格法人とは

 農地法(第2条第3項)では、所有権も含めた農地の権利を耕作目的で取得できる法人として一定の要件を満たすものを「農地所有適格法人」と規定しています。

法人化するメリット・デメリット

メリット

・家計と経営が分離され、経営管理が徹底されます。

・社会的信用力やイメージが向上し、商品取引や従業員の雇用等が円滑に進めることができます。

・役員、社員の中から有能な者を後継者として確保することが可能です。

・所得の分配による事業主への課税軽減など、税制上の優遇措置を受けられます。

・融資限度額の拡大など、大きな資金を集めやすくなります。

・社会保険、労働保険の適用により農業従事者が福利厚生等の恩恵を受けられます。

デメリット

・設立時(登記、資本金の準備)及び会社の維持(会計事務、税務申告等)に費用と手間がかかります。

・利益がなくても最低限、県民税(均等割)、市民税(均等割)の法人税納税義務が生じます。

・各種社会保険制度の導入により、事業主負担が発生します。

・納税猶予の適用を受けている場合は、農地の権利を法人に移転すると、納税猶予の期限に影響がある場合があります。

・経営移譲年金の受給者は構成員(持分または株式を有している)になった時点で経営移譲年金が支給停止になります。

・農業者年金(新制度)の特例付加年金の受給者は、法人の構成員として農業に常時従事(年間150日以上)すると、特例付加年金が支給停止になります。

・農業者年金の被保険者は加入資格が喪失します。

農地所有適格法人として認められる組織形態

(1)株式会社(ただし、定款に株式の譲渡につき当該株式会社の承認を要する旨の記載があること)

(2)合名会社

(3)合資会社

(4)合同会社

(5)農事組合法人

事業要件

(1)直近3カ年の売上高の過半が農業及び農業の関連事業であることが必要です。ただし、異常気象等により農業売上高が著しく低下した年があれば、その年を除く3カ年となります。

(2)主たる事業とは、農業、その行う農業に関連する事業、農業と併せて行う林業であることです。農業に関連する事業とは次のような事業を指します。

 ア 農畜産物を原料または材料として使用する製造または加工  

 イ 農畜産物の貯蔵、運搬または販売  

 ウ 農業生産に必要な資材の製造  

 エ 農作業の受託

 オ 農村滞在型余暇活動に利用されることを目的とする施設の設置及び運営並びに農村滞在型余暇活動を行う者を宿泊させることなど農村滞在型余暇活動に必要な役務の提供

法人の構成員要件

(1)農業関係者(議決権は、総議決権の2分の1超)  

 ア 農地の権利を提供した個人

 イ 法人の農業の常時従事者(原則年間150日以上)

 ウ 基幹的な農作業を委託した個人  

 エ 農地等を現物出資した農地中間管理機構  

 オ 地方公共団体、農業協同組合・農業協同組合連合会  

 カ 農業法人投資育成事業を行う承認会社または承認組合

(2)農業関係者以外の構成員(議決権は、総議決権の2分の1未満)   

※法人と継続的取引関係がない者も構成員となることが可能です。

※構成員の要件((1)、(2)とも)  

 農事組合法人⇒組合員    株式会社⇒株主    合名・合同・合資会社⇒社員    であることが必要です。

業務執行役員要件

(1)役員のうち過半数は法人の農業に常時従事者(原則年間150日以上)する構成員(議決権のあるもの)であること

(2)役員または重要な使用人(農場長等)のうち、1人以上が農作業に従事(原則年間60日以上)すること

農地所有適格法人となるためには

 農業委員会では法人が農地所有適格法人の要件を満たしているかどうかの確認を随時行っています。

 法人化を予定している場合は農業委員会事務局までお問い合わせください。

報告の義務等(要件適合性の確保のための措置)

 農地所有適格法人は、年事業年度の終了後3カ月以内に、事業の状況等を農業委員会に報告しなければなりません。(農地法第6条第1項)  

 この報告をせず、または虚偽の報告をした場合には30万円以下の過料が科せられます。(農地法第68条)  

 農業委員会は、報告に基づき農地所有適格法人が要件を満たさなくなるおそれがあると認められる時は、その法人に対し必要な措置を講ずべきことを勧告することができます。(農地法第6条第2項)

報告書を提出する際には、以下の書類を添付してください。

◆定款の写し

◆組合員・株主名簿

◆損益計算書等売上の確認できる文書の写し(決算報告書等)

◆その他参考となるべき書類

報告に必要な書類はこちらからダウンロードできます。

その他

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